本当のさようなら。

キミさんへ

さようなら。
明日も会えるさようなら。
もう二度と会えないだろうさようなら。

娘がもらったお手紙の最後に書いてあったさようなら。
途中入園した幼稚園で初めて娘にお手紙をくれたお友達。
その子が韓国に帰る事になり、最後のお手紙のさようなら。
これはもう会えないだろうさようならだ、ととても切なくなりました。
この先どれくらいそんなさようならがあるんだろう。
関西にいた頃、関わった人たち、この先会うことはあるのかなぁ。
転勤がなければ絶対に住むことなどなかった土地。そこで確かに暮らしていたんだなぁ。万博公園がすぐそこで、初詣が平安神宮で。
祇園祭の山鉾、くじ取らずの長刀鉾。暑かった京都の夏。
でも私は思っていたんです。
どうせ東京に戻るんだからと。私はここの人間じゃないと。
一生懸命生きてたかなぁ。

キミさん、幼稚園の手帳は捨ててしまいました。
もし、押し入れが物でぎゅうぎゅうではなく、風呂敷をしまった場所がすぐ分かり、場所にも気持ちにも余裕があったら捨てていなかったかなぁ。

優しいお母さんが大好きでした。

退園する先生が書いてくれた言葉。
すごく嬉しかったんです。
私はちっとも優しいお母さんではありませんでした。
優しい振りをするお母さんでした。
そんなことも全部まとめて捨ててしまいました。

出産時のことを忘れないようにと記憶が鮮やかなうちに細かく書き留めたノートはとってあります。
それはきっと忘れたくない記憶なのですね。

忘れたくないことばかりの毎日がいいなぁ。
丁寧に一生懸命。
こうすれば良かったああしたかった、そんなのないといいのになぁ。

さと