元気で生きてりゃいい。

キミさんへ

元気で生きてりゃいい。
そう思えるまでにたくさんたくさん色々な事があったのですね。
大切な事は本当に辛い事にあってからじゃないと分からないのでしょうか。なくしてからじゃないと大切だったと本気で思えないのでしょうか。
次女を死産した時、私は地獄の底に落ちました。
死産後、赤ちゃんが女の子だったと知りました。
苦しかったかな。お腹の中で、赤ちゃんは苦しかったかな、と私が言うと、主人が、そんな事ないよ、あの穏やかな顔を見たでしょ、と言ってくれました。私は主人に、娘の火葬の手続きを取らせてしまった。
隔離された薄暗い病室の鏡に映る自分の顔を見て、なんで私が生きているんだと本気で思いました。赤ちゃんが死んでしまったのに。
点滴の針を刺してもらうと涙が溢れました。これはもう赤ちゃんの命をつなぐ点滴じゃないんだ。こんなもの何の意味があるの。
娘を綺麗にしてくださってありがとうございました。
看護士さんにちゃんと言えるように、鏡の前で練習をしました。込み上げてきて嗚咽で声にならない。でも看護士さんにはきちんと言えました。私は赤ちゃんの母親なんだからという思いがありました。
妊娠したら赤ちゃんは元気に生まれてくる、と何となく思い込んでいました。長女が1か月半も早く生まれてきたのに、次は大丈夫だろうと何となく思っていました。無理をして、大事にしていませんでした。3人目なんだからこれくらい耐えられないとだめだよ、なんて。赤ちゃんを大事に守ってあげられるのは私だけだったのに。
私は、何をしてもどんな事をしても本当に取り返しのつかない事があると心と体に刻み込まれ、思い知ったのです。

抱っこされたかったよね。
どんな声でままって呼んでくれたかな。ぱぱ、にいに、ねえねって呼ぶ声はどんなだったのかな。
大きくなったら恋をしただろうに。
ごめんね。ごめんね。
本当にごめんね。

久しぶりに思い返しました。
涙がぽたぽた落ちました。
忘れないよ。ずっとそばにいてね。

さと